仕事編

師弟愛

師弟愛とは、弟子の成長を見守る師匠、師匠の教えを有難いと思う弟子の師弟間に生じる愛(絆)である。

オリンピックスキージャンプで金🥇と銀🥈のメダルを獲得した小林陵侑選手の師匠は、葛西紀明選手(所属先の監督)である。

小林陵侑選手は、獲得した金メダルを師の葛西紀明選手にかけた。

愛弟子の金メダルに、葛西選手は「今までの僕だったら、悔しくてこんな思いも無かったと思うけど、素直に喜べた」と語っている。

つい先日、将棋棋士の藤井聡太五冠(王位・叡王・棋聖・王将・棋聖)は、王将戦で渡辺明(名人・棋王)棋士を破り、史上最年少で「五冠」を獲得した。

藤井聡太五冠の師匠は、棋士の杉本昌隆八段である。

杉本八段は、藤井棋士が五冠を決めた王将戦の対局翌日には、電話で「おめでとう」と伝えている。

ともに、師弟愛が感じられて微笑ましい。

それでも、ふと思うのは師匠の二人はともに現役ということだ。

先入観ではあるが、通常であれば同じ土俵で闘うのはちょっと違和感がある。

おそらくそれは、私のバイブルの漫画「北斗の拳」に影響されているのかもしれない。

天帝サウザーは、目隠しで(師匠とは知らずに)闘い、そして師匠オウガイを倒した。

目隠しを解き、倒した相手が師匠と知った時に、あまりにも悲しくて「愛ゆえに愛を捨てた男」になったのだ。

ケンシロウの師匠リュウケンもまた、一子相伝の掟を守り伝承者が決まった時点で表舞台を降りている。

フィギュアスケートの羽生結弦選手やメジャーリーグの大谷翔平選手にも恩師がいるが、同じ舞台で闘う相手ではない。

葛西紀明選手は小林陵侑選手を応援し、メダルを獲得した時には称賛している。

その一方で、現役選手ならではのジェラシーのようなものも顔を覗かせている。

勝負師は、特にこの気持ち(ジェラシー)が強いと思うが、それでも小林陵侑選手を称えるところが素晴らしい。

藤井五冠の師匠、杉本八段も愛弟子の活躍を自分のことのように喜んでいる。

愛弟子の活躍で、二人の師匠も注目されて仕事も増えて(?)メリットはあるだろうが、現役で闘っている者だけに本音のところはどうなんだろう?

いつまでも恩を忘れずに活躍する人は、人間ができていて好感が持てる。

自分の才能の当然結果だと自負して、恩を忘れて天狗になるヤツ。

ドラマや本の世界だけかもしれないが、成功した弟子にタカる恩師。

これらを見ると、師匠以外には冷酷非道であったサウザーであるが、恩を忘れないところには男気を感じる。

このような華やかな世界ではなく、もっと身近な職場ではどうだろう?

言うまでもなく、恩を忘れて自分の実力だと勘違いするヤツは腐るほどいる。

恩を仇で返すヤツもいる。

そんなヤツがあまりにも多すぎて、誰しも想定内のことで慣れているだろう。

おもしろいのは、師匠を追い越して偉くなったヤツが、決して師匠に同じ地位権力)を与えないことだ。

二度と恩師面してほしくないのか、自分がマウントを取りたいのかわからないが、器が小さいのが透けて見える。

恩を仇で返すヤツより、腹が黒くてたちが悪い。

こんなヤツには要注意である。

黙っていてもいつか自滅するから、放っておけばよい。

一線で活躍し続ける人は、いつまでも恩を忘れない人間だ。

弟子が活躍している現役の師匠たちにも、弟子に負けない活躍を期待したい。

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