ドラマでも漫画でも、「刑事モノ」「医療モノ」「恋愛モノ」は人気の定番である。
その中で、今回お勧めする漫画は「刑事モノ」だ。
POLICE STATION 羅生門
矢島正雄+中山昌亮
刑事ドラマでは、頭脳的に犯人を導き出したり、ド派手な武器(拳銃・爆弾)が出てきたりして、とにかく、カッコよく事件を解決させる。
これが痛快であり、おもしろいのであるが、何となくリアリティーに欠けてるような気がしてならない。
一方、この「羅生門」は、別の意味のカッコよさが伝わる漫画である。
泥臭いというか、義理人情に厚いというか、外面ではなく内面のカッコよさが滲み出ている作品だ。
今の世の中、「見て見ぬ振りをする者」がほとんど。
マウントを取る人間に群がり、ターゲットの陰口を言ったり、嫌がらせしたりする卑怯者たちがのさばっていても、誰も助けようとしない。
勇気ある心優しき人が一人立ち上がっても、周りは「我関せず」で目を背けて逃げているだけだ。
内心思っていることや言いたいことは、その場で言う勇気もなく、匿名の媒体で威勢よく言うのが精一杯だ。
それでも、「ペンで殺す」ではないが、言いたい放題、コテンパンにやっつける恐ろしい時代でもある。
確かに、権力者等によるやりたい放題に、なすすべが無くメスをいれるものなら少しは理解できるが…。
何事も「〇〇すぎる」のは良くない。
優しすぎて正義感が強すぎる人にとっては、今の世の中、とても息苦しく、ストレスが溜まっていることだろう。
そんな世の中や、周りの一部のクズに悩まされている人、この漫画を読むと「スカッとする」こと請け合いだ。
登場人物が美男美女というわけではない。
犯人を捕まえるのに、難しい推理やド派手なアクションもない。
刑事モノであるから、当然「正義感」丸出しであるが、上や権力者に忖度して言われるままにやるような薄っぺらい正義感ではない。
登場する刑事が「人間の業」を理解し、それぞれの信念を貫き、社会的弱者に寄り添って仕事をする。
保身のために、上から命令されるままに、ろくに真相究明もせず、人情の欠片もないロボットのように働く無能集団ではない。
相手がどんな人間であろうが組織であろうが、「正義のため」に立ち向かう。
そして、同志の気持ちを汲み取り、言葉ではなく行動で応える。
とにかく、「琴線に触れる」シーンが多く、涙腺が緩むことがたくさんある。
本当に強いのは「優しいこと」
本当の正義感とは「優しさから生まれるもの」
このことが、身に沁みてわかる漫画である。
登場する刑事(男女)は、みんな優しく、正義感が強く、義理人情に厚いカッコいい人物ばかりだ。
是非とも読んでいただきたい。
立派なことを言っても、正義感の欠片もない卑怯者やクズたちが、小さな人間に見えるはずだ。