数年前、某新聞社企画の懇話会で、政治評論家の講演を聞いた。
その講演で、政策面はさて置き、当時、小泉旋風を巻き起こし、絶大なる人気を博した小泉純一郎元総理大臣のエピソードに感動した。
その内容は、次のとおり。
小泉元総理は、内閣総理大臣在任中(在任期間1980日)、好きなゴルフを控え、数回しかゴルフ(ラウンド)に行かなかった。
ゴルフ好きなのに何でやらないの?
息抜きに必要でしょう。
小泉首相
休日にゴルフに行くとね、警官が何百人も付く(警護)んだよ。休みの日にね。
そんな事、気にすることないよ。
警官なんて、休日に仕事したら代休取れるんだから。
小泉首相
警官は代休取れても、その家族に代休はないだろ。
評論家はその言葉を聞いて、以降、総理にゴルフ(ラウンド)を薦めることはなかったという。
流石に人気を博した小泉元総理、想像力を働かせ、国民の隅々にまで気を配るエピソードに感動した次第である。
数ある会社の幹部の中に、ここまでの想像力があり、従業員だけでなく、その家族にまで配慮できる者はいるであろうか?
ただし、これはトップでこそできることだ。
そうでない者が、小泉元総理と同じように想像力を働かせ、部下に配慮することは、時期尚早である。
やるとするならば、誰にも気付かれないようにさり気なくやることだ。
トップでない者が、良かれと思って思いつきの業務管理をすることは、誰にとっても良いことはない。
- 独身者は働けってことか!と捉えられる
- 誰しも私生活で苦労や悩みを抱えているが、口に出さない者もいる
- 偏った者への配慮は、周りに負担がかかり不公平感が出る
- どちらの者からも感謝されることはない
- 結局は正直者がバカをみる
要するに、配慮したことが逆に不公平感を生み出し、一部の者以外から総スカンを食らうのだ。
今の時代、ワークライフバランスが強調され、年齢性別を問わず、権利を主張する者が多い。
ワークライフバランスは、意識改革をして、強力に進めていくものであるが。
しかし、そんな流れの中でも、抱えている苦労や悩みを一切口にせず、たくさんの犠牲を払いながら一生懸命働いている者がいる。
権利ばかり主張する者に腫れ物に触るように配慮する中で、それらの仕事を回されても、文句一つ言わずに健気に働く者が、疎かにされている。
いや、冷遇されていると言ってもいい。
改革という名のもとに、得をする者と損をする者が生まれているだ。
そんな理不尽なことを是正しようと口を挟めば、部下だけでなく上からも疎まれ、間違いなく出世できないことになる。
理不尽を正すには、出世して権力を握ってからやるしかない。
トップに立つまで黙っていろ!
人それぞれ、人には言えない苦労や悩みを抱えている。
それを口にせず、健気に一生懸命やっている者が報われる社会にしたいですね。