十数年前に某会社社長の講演を聴講した。
「今すぐ欲しい物」を5つ挙げてください」。ありますか?
そうですね…。
車や時計も、安物なら持っているし。
高級品なら欲しい物はあるけど、今すぐ欲しいかと言えば…。
今すぐ欲しい物と言うと、なかなか頭に浮かばない。
贅沢を言えばきりがないが、「生きるため」「食べていくため」に、今すぐなくて困る物はない。
ブランド品も含めて、物欲がそんなにある方でもない。
ある程度欲しい物は、働いて揃えている(買っている)。
車も(当時)マークⅡが好きで買っているし…。
本当に欲しいものは、お金で買えないものだろう。
それも、お金で買えるものもあるけれど…。
そんな事を考えながら、聴講していたことを思い出す。
数年前、「8050問題」(80代の親が50代の子を抱えている家庭。そこから派生する問題)が話題となったが、今は食べていくのに困ることはないのかもしれない。
社長の話は働くことのモチベーションの話であったが、確かに「生きるため」、「欲しい物を手に入れるため」となれば、ハングリー精神で一生懸命に働くだろう。
そんな欲しい物が特にない中で、ワークライフバランスで仕事と生活を充実させる生き方が推進されている。
ブラック企業が存在し、過労死やメンタルをやられる人が多数存在する中で、このワークライフバランスを推進することは重要である。
ただし、このワークライフバランスについて、意義を履き違え弊害となっていることがある。
そもそも、ワークライフバランス制度をご丁寧に推進しているのは、ブラック企業ではない。
ある意味「普通の企業」だ。
役所なんかもそうであろう。
国策として言われれば、イエスマンでやらざるを得ない。
それに、優秀な人材を確保するためにも風評は大切だ。
しかし、そんな優良企業?の役員や幹部は、木を見て森を見ずではないが、「休暇と残業時間を縮減させる」ことに躍起になっている。
いや、それだけやっていれば、ワークライフバランスを実践していると勘違いしている。
働く個人もそうだ。
真剣に働かないでいいと解釈する者や、これは権利だと主張する者が増え、仕事の質が低下し、仕事が残っていようがノー残業で帰る者も激増した。
それで職場が、これまで通り回っていくのなら問題はない。
しかし、どこの職場であろうと、仕事量が変わるわけではない。
結局のところ、そのしわ寄せは、責任をもたされる中間管理職あたりの者や、仕事がキレる(デキる)者に回ってくる。
当然である。
毎日こなさなければならない仕事を、ワークライフバランスの意義を履き違えた者のせいで、穴埋めの仕事をしなければならないからだ。
前述したとおり、上は、ワークライフバランスを推進しなければ体裁が悪い。
そのため、休暇と残業縮減には力を注いでいる。
それに反して、仕事が山積みで部下に休暇を与えず残業させたら、上からは管理能力を問われる。
おそらく、その狭間で苦労している中間管理職は多いことだろう。
ワークライフバランスが叫ばれて以降、業務量が増え、かつ、権利を主張する奴らにイライラが溜まっているのではないだろうか。
いや、既に心身に支障をきたしている者もいるかも知れない。
目配り、気配りができるまじめで仕事のデキる人にも、これまで以上に仕事が回ってきているだろう。
まじめが故に、ノー残業で…。
仕事をいい加減にやっている仲良しクラブの奴らの傍らで、一人黙々と。
ワークライフバランスは、こんな理不尽かつ、腐った人間を見る機会が増えたことも弊害のひとつだ。
話は、今すぐ欲しい物に戻るが、よく観察すると欲しい物がある者は、残業をかって出てまで働いている。
ワークライフバランスなんかクソ喰らえって感じだ。
残業代欲しさに、マイペースでトロトロと仕事をしている奴らとは大違い。
本当に、必死に働いている。
都会は別として、四国のような田舎では、我々世代と同じく「いい車」を欲しがる男子が多い。
アラフィフ世代は、プレリュード、シルビア、スープラ、マークⅡ、ソアラ、スカイライン等など、欲しい車がたくさんあった。
現代の若者は車を欲しがらないというが、田舎では相変わらず、車はステイタスのひとつだ。
ローンを組んでまで、高級車を買う者もいる。
農家で大儲けしている人は、クラウンやレクサスに乗っている。
車を売るなら、都会ではなく、交通機関が脆弱な田舎にロックオンすればいい!
若者がローンを組んで「いい車」を買うと、バカな上司は「仕事もしないで何を考えているのか」とマイナスイメージを持つ。
悲しいかな、こういったローンを組み、私生活を楽しんでいる者に対して「遊び人」と決めつけ、仕事ができないと思っている。
私から言わせれば全く逆だ!
権利だけ主張して仕事もせず、毎日、家と職場の往復だけで、ソーシャルが全くない奴に、仕事がデキる奴などほとんどいない。
若くして、身分不相応と思える「いい車」や「いい時計」をしている人がいたら観察してほしい。
欲しい物があり、それを手に入れることにハングリーな者は、誰よりも一生懸命仕事をしている(ボンボンは除くが)。
そのような人間は、仕事はもちろん、私生活や自己実現にも力を注ぎ、充実した生活を送っている。
こういう者を、職場では重宝しなければならない。
そうならないのが、世の常であるが…。
欲しい物があることは、活力になる。
働くためにも、生きるためにも。
本当に充実した私生活や自己実現のためには、今すぐ欲しい物を見つけることだ。
働くためのモチベーションやハングリー精神がある者は、毎日、光り輝いて見える。
今すぐ欲しい物を見つけろ!
ワークライフバランスの弊害にあっている人、自らがワークライフバランスを実践してください。
欲しい物がない人は、見つけましょう。
その方が、きっと楽しい!