政治にまつわるニュースのネタは尽きないものだ。
海外では米中首脳のオンライン会談、国内では立憲民主党の代表戦、新人議員の「文通費問題」など。
対外国ならともかく、国内の与党VS野党、自民党や立憲民主党の身内同士の権力争い。
平和ボケ日本で、「一枚岩」になることなく、敵を間違えて醜い争いをしているが、まあ平和ならそれでいいか。
もっと狭いコップの中の「小さな県」「小さな職場」「小さなサークル」においても、権力争いは付きものだ。
確かに、リーダーのいない無法地帯では秩序が乱れ、治安も維持できない。
北斗の拳に出てくるラオウのような存在は、確かに必要だ。
それでも、職場内の権力争いは、コップが小さければ小さいほど、大義もなく醜いものだ。
これまで何の分野においてもトップになったことがない者ほど、初めて手にした権力を振りかざし、その地位を守ろうとする。
世のため人のため、会社(業績・従業員と同家族)のためではなく、自分ファーストで権威とお金(収入)を守ることに執着するのだ。
大した能力もなく器の小さい者が、賢く立ち回って上に立つと、それを維持するために、イエスマンを囲って人事面でもやりたい放題する。
厚遇される者がいれば、それに比例して冷遇される者もいるから、後者は悔しい思いをしていることであろう。
傍から見れば、そんな小さなコップの中の権力争いなど、どうでもいいことだと思うかもしれない。
ただ、身近なものであるからこそ、仕事にも日常生活にも大きく関わってくる。
昔のガキ大将ではないが、学校や小さなサークル内の「〇〇友」と同じで、相当な神経を使うのだ。
だから、国政に関心がなく選挙に行かない者でも、職場の権力争いには否が応でも反応してしまう。
出世レースで、能力や人間性を無視したアンフェアな人事に、忸怩たる思いをしている人は数多くいることだろう。
そんな思いをしている人たちは、昔学校で習った「平家物語」を読み返してみよう。
「祇園総社の鐘の声・・・」で始まる軍記物の平家物語。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
(祇園精舎の鐘の音には、諸行無常すなわち、この世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある)
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
(どんなに勢い盛んな者も必ず衰えるという道理を示している)
奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
(世に栄えて得意になっている者がいても、その栄華は長く続くものではなく、まるで覚めやすい春の夜の夢のようだ)
猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
(勢いが盛んな者も、結局は滅亡してしまうような風の前の塵と同じである)
この境地に達するのは、心が折れてた時か、退職した時かもしれない。
でも、権力争いの呪縛からは早く逃れた方がいい。
もう十分じゃないか?!
これまでずっと頑張ってきたのだから。
辞めるまで、どんなに頑張って尽くしたとしても、(時の権力者の力により)報われないことは多々ある。
権力争い(出世)のために、様々な犠牲を払うことほど、虚しいものはない。
この呪縛から解き放たれれば、「僻み(ひがみ)」「妬み(ねたみ)」「嫉み(そねみ)」がなくなって心が軽くなる。
上に立ってふざけたことをしている奴らなんか、放っておけばいいのだ。
人生、明るく楽しく生きようではないか!
猛き者もつひにはほろびぬ
徳川幕府でも300年。
小さなコップの中で、数年間、いい思いをさせてあげましょう。
権力に執着することも、そのために心身をすり減らすことも必要ありません。