将棋の藤井聡太棋士(19歳)の活躍ぶりが凄まじい。
史上最年少の14歳2か月で四段に昇段(プロ入り)して、今や王位・叡王(えいおう)・棋聖の三冠である。
まさに、将棋界のプリンスだ。
藤井棋士が対局中に食べたおやつが報道されるや、翌日にはそれが「完売」になる。
こういう「社会現象」を引き起こすことも、藤井棋士の人気の高さを物語っている。
藤井棋士のおやつもそうだが、オリンピック選手や女子プロゴルファーの渋野日向子選手が食べているお菓子も爆発的に売れたことがある。
商売人にとっては、これほどいい宣伝効果はないだろう。
この功労者に対して、商売人は何らかの「お返し」をしているのだろうか。
どうでもいい話であるが、ちょっと気になる。
さて、藤井棋士の名前が世に知れ渡る前から読んでいた「将棋漫画」がある。
3月のライオン・・・羽海野チカ
主人公は中学生でプロの将棋棋士になった桐山零。
現実世界の藤井棋士とは違って、中学生でプロ棋士になってからの苦悩に満ちた物語が展開される。
若くして天才と呼ばれたり、ビックタイトルをとったり、大ヒットを飛ばしたりする人がいる。
一度でも名を残す偉業を成し遂げられたら十分だと思うが、当人にとっては、その後のプレッシャーは計り知れないものがあるだろう。
凡人の私が、心配することではないけれど。
この漫画の主人公は、将棋だけではなく、複雑な家庭の事情からくる「心の闇」で対人関係にも苦悩している。
また、主人公を取り巻く登場人物のヒューマンドラマも深い。
それは、とても優しく、切なく、愛おしく、ときに厳しいメッセージとなって心に突き刺さる。
将棋というと文化系の地味なイメージがあるが、やはり、プロの勝負師の世界は違う。
プロスポーツの世界とは違った「勝負の厳しさ」が伝わる作品だ。
何ごとにおいても頭を使うが、何時間も考え続けることはしんどく、途中で投げ出したくなる。
試験勉強でも競馬の予想でも、最後は「息が続かず」開き直ってしまうのだ。
世間が注目する将棋対局で、長時間にわたって勝負することは、半端ない労力と精神力を要することだろう。
藤井棋士もさることながら、対戦する棋士にもリスペクトする。
私ごとであるが、将棋は「アマ初段」の免状を持っている。
自慢できるほどの腕前ではないが、「免状の署名」には今でも感動している。
米長邦雄会長・羽生善治名人・渡辺明竜王(当時)
そうそうたるメンバーだ。
米長会長(故人)の「兄貴はバカだから東大に行った」という言葉はよく覚えている。
棋士の凄さを知ってもらうのと、将棋に興味を抱いてもらうための熱いメッセージだったのだろう。
小さな島で生まれ育った私は、小学生の頃の遊びといえば、海水浴、釣り、昆虫採集、凧揚げ、ビー玉などであった。
アラフィフの人ならわかると思うが、小学校の高学年になって「インベーダーゲーム」が登場した世代だ。
ファミコンが登場したのはもう少し後の話になる。
必然的に、親父から将棋を教えてもらい、家族でよく将棋を指していた。
周りに将棋する人は少なく、高校生になった頃も「あまり負けた記憶がない」が、単なる井の中の蛙、強い相手と指したことがないだけだ。
大人になるにつれて、ゲーム、麻雀、パチンコなどの違う遊びを覚え、周りに相手もいなかったことから何年も将棋を指していない。
藤井棋士の出現で、将棋が注目されることは素晴らしいことだ。
この機会に、多くの人に将棋に触れてほしいと思う。
「3月のライオン」は、先崎学棋士監修であり、将棋界のことも詳しく書かれている。
「将棋入門書」に加えて、「3月のライオン」を読めば、将棋について語れるようになるだろう。
お勧め!
この漫画は、将棋の話はもちろん、人生の琴線に触れる描写にも惹き込まれます。
やってみると将棋はとても楽しいですよ。
ぜひ、「3月のライオン」を読んでみてください!